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2005年9月

2005年9月24日 (土)

最後のあがき(JB-POT直前講座22)

いよいよ明日は試験ですね、1点でも多くもぎ取るためのヒントを追加させていただきます。

<弁口面積>
ASの手術適応となるAVAは0.5-1cm2程度
MSの手術適応となるMVAは1-2cm2程度   です。

計算問題などでお手上げの場合は、とりあえず上記の範囲内の数字をマークしておきましょう。

<壁運動異常>
LADかRCAかCxか見当がつかない場合はECGに注目しましょう。派手なST変化があればRCA、そうでなければそれ以外にマークしましょう。

<基本画面>
SCA基本画面のうちで、一つだけ見直すならばdeepTCLAX(深部経胃長軸像)をお勧めします。(ascending aortaとLVが逆さまになったViewです。)ASやLVOTの圧較差の求め方を復習しておきましょう。また、MVR後など人工物で画面がキラキラして、他の画面ではLVの観察が出来ない場合に、このViewが用いられます。


基礎分野(アウトライン1-5)の見直しをお忘れなく。少なくとも出題アウトラインにリストアップされている用語ぐらいは全て理解しておきましょう。


では、遠くで皆様の成功をお祈りしておきます。
Good Luck!

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2005年9月22日 (木)

質問にお答えします2(JB-POT直前講座21)

Q. いつも楽しく拝見しております。分からない事があり、教えていただければ幸いです。
心カテで、ASの圧較差に、peak to peakの圧較差、最大圧較差、平均圧較差でその意味することが異なるとのことですが、それぞれの意味すること、違いを教えて下さいませんか?宜しくお願いいたします。

A. maximum gradient/ peak-to-peak gradient (JB-POT直前講座14)をご参照ください。

若干、補足しますと、

まず、用語の整理をしたいと思います。

圧較差という用語には、最大圧較差と平均圧較差が含まれます。血圧という用語にも最高血圧とか平均血圧という用語が含まれるようなものです。

このうちの、最大圧較差は、「瞬時最大圧較差(maximum gradient)」と「 ピークからピークへの圧較差(peak-to-peak gradient)」の両方の測定方法があります。TEEからの計算値は前者で、心カテによる測定は後者です。ほとんどの場合、maximum gradient>peak-to-peak gradientですが、平均圧較差を求めると、TEEによる値も心カテによる値もほぼ一致します。(JB-POT直前講座14の図をご参照ください)

最高血圧にもカフ圧とAライン圧があり、末梢血管抵抗が高い場合などは「カフによる最高血圧」>「Aラインによる最高血圧」となることもあるが、平均血圧を比べるとほぼカフ圧=Aライン圧のようなものでしょうか。

イメージがつかめましたか?

いよいよ明日から心臓血管麻酔学会ですね。
管理人は、23日の一般演題1で発表ののちに、病院にとんぼ返りの予定です。直接質問したいことがある方は、会場で捕まえてください。(ピンクの上着で、LVASの発表をしている女医がそうです)

Blogでの質問は24日19:00を締め切りとし、(緊急手術などなければ)その夜のうちに回答したいと思います。

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2005年9月19日 (月)

質問にお答えします EFそのほか (JB-POT直前講座20)

Q1,左室全体の動きからEFを推定するときの目安はないでしょうか。Infの動きが悪いから○○%程度、とかAnt-Latの動きが悪いから ○○%程度とか。

A1.EFとはLVの最大容積と最小容積の差から算定されるデータであり、「Infの動きが悪いから-10%減」というように算定するものではありません。「DCMだとどこもasynergyがないけれどもEF15%」という症例もありますからね。

 実際の心臓手術の現場では、「心エコー専門医のぱっと見」によって、「EF40%、inf-postのhypo」などと診断が下されることが多いのですが、あとでビデオのデータと照らし合わせても、臨床的には問題のない誤差範囲のことが多いです。(というか、EFというデータはNIBP並に10%程度の誤差は覚悟しなければならないアバウトなデータだと思う。)
 具体的なLVEFの読み方としては、一画面だけとしたらTGSAXを出して

1.心電図(やその同期音)で心サイクルのリズムをつかむ
2.収縮期(一番小さいところ)に特に注目
3.だんだん拡張期にも注目し、その変動幅を残像として焼き付ける、壁厚の変化にも注目しましょう

 まずは、正常例を数多くみて正常の変動幅になれて、次いで壁運動異常のあるケースにチャレンジするのがいいと思います。その際に、一緒に見てくれるTEE指導医(NBEかすくなくともJB-POT合格レベル)がいると、トレーニング期間が5分の一以下で済むと思います。


教科書的な計測方法としては、以下の4種類

1.一次元的計測法;ある画面のLV直径の最大値と最小値より算定する。
Pombo法,Gibbson法,Teichholz法など、%FSの求め方と共通です。

2.二次元的計測法;ある画面のLVの最大面積と最小面積より算定する。
Area-Length法、FACの求め方と共通です。

3.三次元的計測法;二次元的計測を直交する画面で2回行って、立体的なLV容積を測定し算定。
Simpson法、modified-Simpson法、狭義のEFは3(か4)の方法で得られたデータのみをさします。

4.三次元的計測法;3Dエコーにより直接LV容積を測定し算定。
もっとも、3Dエコーがどこの病院にでもあるというシロモノではないので、試験には出ないと思いますが・・・


Q2,虚血についてTG SAX / ME-four / ME-two / ME-Laxで判断した方が良いように思うのですが、TG Basal SAXはどうしても必要でしょうか。(去年のセミナーではあんまり必要ないような印象でしたが実践法では ME-LAXが必要ないとの解答でした。


A2.「3枝のうちの責任病変はどれか?」という設問ならばTGSAXだけで回答できます。ME-four / ME-two / ME-Laxというviewは「この局所壁運動異常はASE16分割法によるとどこ?」という設問がでれば必要になってきます。TG Basal SAXは虚血よりもむしろMVP/MAPで必要とされるViewだと思います。

 ASE16分割法のキモは「anteriorの反対側はinferior」ではないでしょうか。何でこのような名前になったのか私は知りませんが、文句をいってるひまがあれば、とりあえず暗記したほうが合格への近道です。

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2005年9月15日 (木)

心臓だけではない(JB-POT直前講座19)

 昼間はまだまだ暑いながらも朝夕も過ごしやすくなった今日この頃、今週のあたまぐらいから大血管系の緊急手術が頻発している・・・秋の訪れを実感している・・・

 というわけで、TEEで得られる心外の情報についてまとめてみようと思う。数字については、私の個人的な実感(や、個人的に見聞きした値)であり、きちっとした文献的な考察ではないことを踏まえて、参考にしてください。

1.胸水

 アメリカ心臓麻酔学会の設定する基本画面に含まれていないせいか、各種の公開講座では軽視される傾向があるが、臨床上は大変重要である。(私はTEEを使用する開心術のほぼ全例でルーチンにチェックしている)。「一見穴が見当たらなくても、TEEで著明な胸腔内の液体を認め、吸引してもらうと200cc以上の血液が貯留していた」といったケースは、JB-POT合格者クラスの麻酔科医ならば一度は経験しているだろう。

 下行大動脈があるため、左胸水のほうが右胸水よりも描出しやすい(逆にTEEで右胸水が描出できる=400cc以上の液体が貯留していることを覚悟すべきである)。CABGで内胸動脈を採取した側や、体外循環後に説明のつかないPaO2低下を認めた場合は、特に念入りにチェックする。

 画像描出テクニックは簡単である。0度で4chamber-viewを描出した後に、プローベを約120度左もしくは右に廻すだけである。画像問題の際は、扇形の付け根に輪切になった下行大動脈が見えるほうが、左胸腔である。


2.無気肺

 胸水を描出するのと同じ画面で無気肺のチェックも可能である。正常な含気の肺組織は白くキラキラした斑のある灰色の組織として描出されるが、無気肺は肝臓のような暗い灰色である。対策としては、教科書のとおり気管内吸引&肺の加圧である。

 私は同様の画面で、TEEによって左用ダブルルーメンチューブが右肺に入っているのを発見したことがある。(「その前に、聴診で気付けよ」って・・・ごもっとも・・・)


3.心のう水

 心臓をとりかこむ黒いecho free spaceとして描出される。心臓の前面(画面の扇形の下側)が2cm以上あれば、500ml以上の液体の貯留が推定され、心のうドレナージの適応である(あるいは、緊急手術の呼び出しが待っている)。CVPラインがあれば、CV圧上昇で確認できる。

4.IABP

 まずはIABPの(ガイドワイヤー)先端が真腔にあることを確認する。(できれば)左鎖骨下動脈より3~5cm程度下方にあることを確認する。左胸水を確認するのと同じ画面で、大動脈内の人工物を探し、鎖骨下動脈が見える位置までプローベを引き抜いて、その引き抜き幅が3-5cmであるとO.K.である。
 TEEがない頃は、先端確認のためにいちいちX-pを撮らねばならず、できあがったX-pをとっても反対側の大腿動脈などに迷入していることもまあまああったそうである。また、偽腔に迷入したバルーンを膨らませたら・・・・一巻の終わりである。

5.IVCカニュレーション

 脱血管やPCPSカテーテルなどを大腿静脈からカニュレーションすることがたまにある。しかし、大腿からのCVPが腎静脈などに迷入しやすいように、大腿静脈からのガイドワイヤーは迷入しやすい。90度のbi-caval viewでRAの画面左側がIVCであり、ガイドワイヤー先端がそこに到達していることを確認する。正しく挿入されていれば、ワイヤーのみならず、外科操作にともなう気泡の混入も観察できる。

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2005年9月12日 (月)

AS; aortic valve stenosis (JB-POT直前講座18)

AS; aortic valve stenosis 大動脈弁狭窄

原因は(JB-POT出題レベルとしては)以下の3種

1.Congenital bicuspid AS 先天性二尖弁
 健康成人のほぼ5%の大動脈弁は二尖であり、無症状のまま天寿をまっとうする場合も少なくない。一尖弁やまれにはゼロ尖弁というのもあるが、成人する前に夭折する場合が多い。四尖弁やそれ以上の大動脈弁の報告もあるが(私が聞いた限りでは七尖弁まで・・・クローバーみたいだ)、このような多尖の場合はARになることが多い。
 若年(40歳以下)で発症することが多い。TEEで詳細に観察すると、癒着した尖と尖の間にraphe(縫線)が観察されることがある。

2.Rheumatic AS
 リウマチ熱に続発することが多いが、著明な発熱歴がない場合も多い。日本の近代化に伴ない、減少傾向。

3.石灰化によるAS
 多くは老人性。70歳以上で発症することが多い。透析患者でも好発。


現実の臨床では(マークシートでは出題しにくいけれども)1+3のような複合型も多い。出題されやすいのは、無論TEE画像の特徴的な1であろう。

その他の、出題ポイントとしては

AVA 弁口面積 の求め方
(1-3は直前講座11のMVAを参考にしてください)

1.Pranimetry
 まずは0°で4chamber-viewを描出し、TEEプローベを45°ぐらいまでまわして軽く引き抜くと、ベンツのマークの如きA弁が描出できます。もっとも開いたところでフリーズしてトレースします。健康成人ではPranimetryによるMVAの測定より簡単です。

2.連続の式
 SV (Stroke Volume)=(他の弁もしくはLVOTの)弁口面積×(そこを通過する)TVI=AVA×AVAのTVI

3.PISAによる測定
 理論的には可能です(が、綺麗な半球が得られにくいため非実用的ですが・・・)

4.triangle method 三角法

 健康人のA弁が開口すると、○型ではなく△型になります。1辺の長さ=Sとすると、

 AVA=正三角形の面積=S×√3/2S÷2      となります。

 あまり一般的ではありませんが、(臨床心エコーのバイブルとも言える)Ottoの教科書でも紹介されている方法です。なお、この方法を報告したThys&Hillelは米国のTEE業界の重鎮であり、実はこの2人は(JB-POTの黒幕である)J医大N村教授の師匠でもあるのです。

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2005年9月10日 (土)

cardiac tumor (JB-POT直前講座17)

ほぼ一週間ぶりの更新です。

主人の建築事務所関連の雑務に追われておりました。(このブログのタイトルも「女医の仕事&家庭&建築事務所の三立日記」に変更すべきか?)建築関連の話題は試験後までおいといて・・・

試験直前だというのに、(少ないながらも)愛読者の皆様申し訳ありませんでした。

cardiac tumor ご存知、心臓腫瘍のことである。
一般市中病院の心臓手術の現場では、ほぼ「心臓腫瘍=LA myxoma」なのだが、JB-POT出題者の多くが所属するのは大学病院であり、myxoma以外の腫瘍も目にすることがある。なおかつ、医者というものは(とくに大学病院勤務医は)「珍しいものをみつけると、他人に見せびらかしたくなる」習性をもつ者が多い。しかしながら、各地のTEE講習会では、「MRと弁形成」や「LV拡張能」などに時間をとられてこの疾患については割愛されることが多い。よって、本日は「cardiac tumor」についてまとめてみたいと思う。

当然のことながら「MRと弁形成」や「LV拡張能」は間違いなく出題されるので、講習会内容などをよく自習しておいてほしい。

1.Myxoma 粘液腫

 成人でもっとも頻度の多い、原発性心臓腫瘍である。圧倒的にLAに多いが次いでRAに多い。多くの場合、有茎性でIAS(Intra-Atrial Septum)のfossa ovalisに付着し、心臓の拍動にあわせてプラプラしている。良性腫瘍だが、ちぎれてbrain emboliをおこす事もあるので摘出手術の適応がある。麻酔上の注意としては、導入時のSVR下降にともない相対的にhypovolemiaになり心室が小さくなると、腫瘍が詰まって循環虚脱をおこしかねないので、充分な輸液が必要である。

2.LHIAS; Lypomatous Hypertrophy in Intra-Atrial Septum

 心房中隔の脂肪過形成。TEEでbi-caval view(90度)にすると、薄いfossa ovalisの前後に暑い脂肪腫(2cm以上)が見えるため、「ダンベルシェイプ」と呼ばれる。また、心周期に同調する動きが無い。基本的には治療の必要がない。

3.Rhabdomyoma

 小児でもっとも頻度の多い、原発性心臓腫瘍である。tuberous sclerosisとの関連が指摘されている。これの悪い親戚にRhabdomyosarcomaという奴もいるが、「見つかった時には手遅れ」であることが多く、まず手術適応にはならない。(マニアックすぎで出ないかな?)

4.Metastatic Tumor

 転移性腫瘍のなかでもっとも出題されやすいのはズバリ
「renal cell carcinomaのIVC浸潤」であろう。きれいな画像が得やすいし、IVCを腫瘍がズリズリとRAに近づいてくる様は、なかなかスリルがある。その他の組み合わせとしては

SVC-nasopharyngeal ca.
PV-Lung ca.
anterior mediastinal-lypoma, tymoma
Pericardial-Breast ca., Lung ca.
(しかし、ここらへんもオタクすぎて出ないかも?)


以下、まったく試験に出ない話だが・・・

旧ソ連の反体制作家ソルジェニツインの「ガン病棟」には「tumor cordis」という章がある。「余命いくばくも無い患者の悲劇」を描いた章なのだが、いま思えば「単なるLA myxomaじゃん」と思ってしまう・・・本そのものは名作です。とくに、僻地出向中などに読むとしんみりさせられます。

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2005年9月 2日 (金)

af; atrial fibrillation(JB-POT直前講座16)

atrial fibrillation ご存知、心房細動のことである。
日本ではafと略されるが、ニューヨーク(の私の留学先)ではA Fib.(エイ フィブ)と呼ばれていた。
「afは不整脈の一種であり、JB-POTには関係ないんじゃないの?」って・・・まあまあ・・・

心エコーの画面下部には、通常ECGが表示されている。TEEの画面だけでは判断のつきかねる問題も、同期するECGをヒントに考えるとたやすく正解にたどりつける場合がある。この場合のECGは、単一の誘導で目盛りもなく、なおかつ誰でも診断できる明快なものでなければならない。となると、もっとも出題しやすいのはズバリafであろう。(違うものが出題されても責任はとれませんが・・・)

画面下部のECGがafだった場合

1.まず、LAA(左心耳)をチェックする必要があります。afといえば、「LA内血栓」であるが、LAの中でもっとも血流がうっ滞しやすく血栓の出来やすいLAAは、TTE(経胸壁エコー)からは描出が困難です。「LAに血栓はない!」と診断するにはTEEが必須です。(が、TTEのレポートだけを見て「LA内血栓はありません」と診断する循環器内科医は少なくない・・・)このときに、Q-Tip(直前講座5参照)を「LA内血栓」と診断しないようにしましょう。

2.Maze手術(PV isolation)の適応があります。

3.E/A比は(当然のことながら)算出できません。

4.E波が心拍ごとにまちまちです。PHTやDTでMVAを求める場合は、5心拍の測定を平均するのが一般的です。


麻酔科が心機能の目安として術前診察ではEFチェックするのが一般的ですが、無論EFは心機能の全てを代表する値ではありません。EFとは通常LVEFの略であり、心臓の4つの部屋のうちのLV(もっとも大切な部屋ですが)機能の指標でしかありません。

心臓のポンプ機能=LV+atrial kick(心房の補充収縮)であり、atrial kickは正常心で約20%、病的な心臓では約50%になる場合があります。よって、麻酔管理上

患者1.EF45%でsinus
患者2.EF60%でaf

を比べた場合、多くの場合は前者の方が循環管理は楽チンです。

ちょうど、

病院1.月収45万、研究日有り、バイト黙認
病院2.月収60万、バイト厳禁

の病院で、「どちらが医者の生活が楽になるか」のようなものです。病的な心臓で「sinus→afになる」ということは「大学勤務医がバイトを禁止される」ぐらい心臓にとってつらいことなのです。

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