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2006年9月 3日 (日)

ロスとTEE(JB-POT直前講座2006-6)

よく考えてみれば最近あまりTEEに役立つ情報がないので、前回の記事に追加しようとおもう。

臓器移植や盛んな米国では、ホモグラフト(死体より採取し、冷凍保存した)弁の入手が容易なため、ロス手術はわが国より盛んに行われている。複雑な肺動脈弁の形成術が不要になるからだ。わが国で「ロスの名手」と噂される心臓外科医の多くが小児の心臓外科医であるのに比べて、米国からの報告は成人を対象とする施設が多いように思う。

ゆえにこの手術をめぐる知識は、NBEなどの試験に出やすい。また、JB-POT出題者の多くはNBE合格者であり米国留学経験者なので、日本では一般的とはいえないこの手術も出題されるリスクは(わが国で行われる件数の割には)高いとおもう。なお、うちの施設は(幸か不幸か)ロス手術を得意とする外科医が在籍している。

若年者の大動脈弁疾患は二尖弁であることが多い。(JB-POT直前講座18)参照。
二尖大動脈弁にロス手術を行う場合、に最初に確認すべきなのは「肺動脈弁が三尖であるか」どうかである。大動脈二尖弁は高率に肺動脈も二尖であり、この場合はロス手術の適応とならない。肺動脈弁は食道から遠く、TEEでの描出が困難なため、術前のTTEで不十分な場合には開胸後に直接肺動脈にプローべをあてて検索されることが多い。

人工心肺離脱後は、とにかく出血との戦いに苦渋することが多い。なんせ、吻合箇所が多いし人工心肺時間も長くなりがちである。かといって、「出血による低血圧」だと思っていたら「植え替えた冠状動脈が屈曲していた」こともあるので、血圧が低下した時にはLV短軸像で「hypovolemia」なのか「asynergyをともなうLV failure」なのかをチェックしておきたい。

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コメント

初めまして!
たまきさんのブログでお見かけし、お邪魔いたしました。
うちの義母は医学関係のジャーナリスト、義父は医師、夫はヘルスケア、医療関係のファイナンシャル・アナリスト、義妹は医学部出身でファイザーに勤めております。
しかしわたしは、数学だけは好きでしたが、それ以外はまったく理科系の頭脳を持ち合わせておりませんで、つついさんのような方には心底憧れてしまいます。
家族の会話に少しでもついて行けるよう、こちらのブログを学生さん動同様、参考にさせてください。

投稿: Rumi | 2006年9月 3日 (日) 22時10分

Rumiさん、はじめまして

わたしは以前West79th Streetに住み、168thの大学で客員研究員をしておりました。主人(建築家)も以前ハンプトン(イーストらしい)の別荘を手がけたことがあり、Rumiさんのブログを懐かしく拝見いたしました。

私の日本での勤務先大学は4割が女子学生、留学先は5~6割が女性、という時代になりました。お嬢さんも、近い将来にはメディカルスクールに進学するのかもしれませんね。

それにしても、Rumiさんのブログには入院・手術・化学療法といった話題が登場しますが、関係者のだれもが医療費の心配をしていない!アメリカの医療制度を知る者としては、感嘆するのみです!!別荘やファッションブランドの話よりも「アメリカにおける上流社会」を感じております!!!

投稿: clonidine | 2006年9月 4日 (月) 20時08分

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