« 年末年始 | トップページ | チェロの椅子、完成しました »

2010年1月22日 (金)

教授の犬

A大学心臓外科のB教授はハナコという名の犬を飼っており、賢い犬との評判であった。というのも「犬は人間関係を見抜く」と言うが、ハナコは特に「B教授宅を訪れる来客の人間関係を見抜く」との噂だっだ。

具体的には、B教授宅のホームパーティーに学生と研修医が招かれた場合、学生には吠えないが、研修医がろくにお酌もせずにソファでごろごろしていたら吠える・・・ハナコには医局員とそれ以外が区別できるらしかったし、新入り医局員には特にきびしかった。ハナコの吠えにも動かない外科研修医は咬まれることもあるが、講師以上で咬まれた人はいなかった。また、B教授は麻酔科医を丁重に扱うことで知られていたが、ハナコも麻酔科医をむやみに吠えることはなかった。下っ端医局員はハナコを「教授の犬」と恐れつつ崇め、国際学会などの折には首輪などの貢物を土産に買ったりするのだった。

どうもハナコは自分のことを「B教授の次にエライ」と思っているフジがあったが、B教授によると家庭内では「B夫人>B教授>ハナコ」と思っているそうだ。血統としてはハナコ自身は雑種犬だが、ハナコの母はC大学心臓外科のD教授の愛犬であり、由緒ただしい「II世教授犬」なのである。


先日、ある病院で開心術の麻酔を担当していたところ、D教授がゲスト出演しており、ハナコのその後を聞くこととなった。B教授は大学にありがちなつまらない学内政治に巻き込まれA大学を去り、ハナコに吠えられていた若手外科医も次々と大学を去ったが、その頃からハナコもがっくり老け込んでしまったそうだ。B教授はしばらくして別の大学教授に就任したが、ハナコは回復することはなく、ある日眠るように無くなったそうだ。

「教授も教授犬も医局員があっての存在だよなあ」D教授はつぶやいた。
ハナコの冥福を祈りつつ・・・合掌

|

« 年末年始 | トップページ | チェロの椅子、完成しました »

コメント

こんにちは

お風邪は全快されたでしょうか?
犬というのはオトコの猿山的ヒエラルキー(犬山というべきか)をよく感知するようで興味深いですね。

医局って崩壊したと聞いたんですが、これは少し前のお話なんですか?

投稿: ap_09 | 2010年1月24日 (日) 00時16分

医局のお家騒動は、約3年前の話です。
教授は新しい大学でご活躍ですが、教授犬は新環境になじめなかったようです。

投稿: clonidine | 2010年2月21日 (日) 22時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/126543/47357886

この記事へのトラックバック一覧です: 教授の犬:

« 年末年始 | トップページ | チェロの椅子、完成しました »