「チーム・バチスタの栄光」に異議あり!その方法では死にません(ネタバレ含)

この記事は、ミステリーの結末を知りたくない方は読まないでください。


チーム・バチスタの栄光」というミステリー小説がある。昨年映画化され、現在ではテレビドラマ放映中である。一昔前の医療ドラマの「外科医のみがひたすらかっこいい」ストーリーではなく、心臓手術を題材に麻酔科医・病理医・臨床工学士・器械出しナースなどのメンバーが重要な役割を持って登場する。


原作小説中の犯人は麻酔科医だった。麻酔科医は病院内での麻酔科医の扱いに不満を蓄積させていた。麻酔科医は硬膜外カテーテルを背中から脳に挿入し、手術中にこっそり薬液を注入した。患者の脳細胞はダメージを受け、手術中に心停止させた心臓は人工心肺離脱後も再鼓動しなかった・・・

しかし、ほとんどの麻酔科医は「この方法は使えない」と気付いたであろう。というのも

1.硬膜外カテーテルは首より上まで到達させるには短すぎる。
2.さらに柔らかく、思った方向に直進しにくい。
3.硬膜外腔は脳幹部と連続しておらず、首より上に挿入するには硬膜を破らなければならない。
4.そもそも、心臓手術では原則として硬膜外カテーテルは使用しない。

さらに、

5.仮に、脳細胞がダメージを受けても、しばらく心臓は拍動する(脳死でも心拍はしばらく持続するようなものである)。ゆえに、このケースでは人工心肺離脱後に再鼓動する(が、ICUでいつまでたっても患者の意識が戻らないことで異常に気付くはず)。

6.仮に、再鼓動しなくても、その場合は再び人工心肺に戻れば、大騒ぎする必要はない。PCPSを装着すればICUに帰室できる程度の時間は稼げるので、手術室内で死亡することは、まずありえない。


今回のテレビドラマ編では、「原作とは犯人が違うらしい・・・」とのことだったが、11月18日放映分では、麻酔科医が犯人だった。しかし、1~4の疑問はクリアされていた。麻酔科医は硬膜外カテーテルではなく、肺動脈カテーテルを使用していた。肺動脈カテーテルならば、ほとんどの成人心臓麻酔で使用されているので、バチスタ手術で麻酔科医が使用しても不自然ではない。また、肺動脈カテーテルを右房・右室に挿入するのは通常の使用法なので、周囲も疑問には思わないだろう。

犯人は、肺動脈カテーテルに強い電流を流して、右房・右室にダメージを与えたため、心臓は二度と動かなくなった・・・とのことで、多くの麻酔科医は「これだったらできるかも」と思ったかもしれない。


しかし、私は「やっぱり、この方法は使えない」と思う。というのも

7.心臓手術中は(というか、ほとんどの手術中は)心電図がモニターされているので、心臓を破壊するような高圧電流が流れたら記録に残ってしまう。

8.バチスタ手術は拡張性心筋症に対する手術である。そして、拡張性心筋症の右房・右室の内腔は拡張しているので、カテーテルと心筋壁が接触しにくい(ゆえに、肺動脈カテーテルにはペーシング機能のついたものもあるが、心不全で拡張した心臓ではペーシングが脱落しやすいというジレンマがある)。ゆえに、電流を流しても一撃必殺とはいかないであろう。何度も繰り返すと、壁の薄い肺動脈部分が先に損傷してしまい、「何か変だぞ」と心臓外科医にばれてしまいかねない。


じゃあ、どうすればいいのかというと

9.肺動脈カテーテルはしばしば、逆行性心筋保護液注入ラインの圧モニターのために、その側管と接続されることがある。このラインを使用するのである。たとえば、このラインから蒸留水を注入すれば、外科医に気付かれずに冠静脈洞から静脈を通じて電解質差によって心筋にダメージを与えることができる(心筋保護液と水を間違えた医療事故の報告もある)。水ならば簡単に入手できるし、警察の鑑識調査でも検出されることはないはずである。

ただし、よい麻酔科医のみなさんは、けして真似しないでください。

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アナフィラキシー2連発

今週はアナフィラキシーショックに二度も出くわしてしまった。


症例1.

50代男性の開心術、アレルギー関連の既往はなかった。体外循環離脱後、MAP+FFPを急速輸血している最中に、血圧があっというまに40~50台に急降下。、「輸血のどれかに当たったな!」と推測した。顔面や術野の紅潮はなかったが、TEEが入っており、Swan-Ganzカテーテルも入っていたので、血圧低下の原因としての心不全は即座に否定できた。TEEではLVが小さめでよく動いており、胸腔内の液体貯留もみとめなかった(=胸腔内出血なしと判断)。診断的治療ということでヒスタミンブロッカー+ステロイド+エピネフリンを投与したらまもなく血圧は回復。手術終了後に覆布を取ると、皮膚にはホルスタインのような赤い模様ができていた。


症例2.

40代女性のラパコレ、既往歴なし。麻酔導入も手術も順調で、手術は終盤を迎え、腹腔鏡を抜いたあたりから突然の頻脈+大量の水様痰+気管付近から雑音。顔面がジャガイモのように赤黒くゴツゴツはれ上がる。とりあえずステロイド点滴で様子を見ていたら、気管の雑音が消失したので、抜管する。麻酔覚醒後、本人は呼吸困難も掻痒も訴えなかったので、帰室となった。迎えに来た病棟看護師が、「顔の形が違う!」とびっくりする。私が夕方、病棟に診察に行くと、別人のようなゆで卵風あっさり系小顔になっていたので、今度はこっちがびっくりする。


症例1.は輸血が原因と推察できるが、症例2.は原因が未だわからない。原因物質が抗生剤・ラテックス・消毒液だったら手術開始早々に発症しそうなものなのに・・・。しいていえば、終了間際に投与したロピオン(シップ薬等に使用されるケトプロフェンと交叉アレルギーをおこしたとの報告あり)ぐらいか・・・?

とりあえず、「二度あることは三度ある」とならぬよう、なんとなく用心している最中である。

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学会の教育公演にコメンテーターとして出演します

きたる9月20日、第48回日本麻酔科学会 関東甲信越・東京部会
『教育講演Q&Aセッション』にコメンテーターとして出演します。
内容は、「非心臓手術における心疾患への対応」になる予定です。

ご興味のある方は、渋谷セルリアンタワーホテル第2会場(宙)へ13:30~15:30おいでください。
(台風に直撃されそうなのが、とっても心配・・・)

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Type IIIa心臓麻酔科医が弟子募集中

例のIIIa麻酔科部長がいる病院へ行く。最初の入室は8:30だというのに部長は7:00頃には病院に来ているらしい。

「私が来る日ぐらいは、ゆっくり朝寝して午後出勤でいいじゃないですか」と言っても、
「これがオレのスタイルだ!」と、変える気はないらしい

朝はしょっちゅう遅刻、10時ごろには「会議」「来客」といって手術室を出て行き、その後は行方不明、昼頃に教授室の前を通ると中から高イビキ・・・なんていう爺医の後始末を、大学病院講師時代の私はしょっちゅうさせられていたので、なんだか新鮮な体験である。例によって、部長に檄を飛ばされながら麻酔導入する。

一段落してから部長から相談された。

「誰か若いモンで、思いきり心臓麻酔の経験をつみたい、って奴はおらんかね。ウチで半年研修すれば、開心術100例はこなせる。大学とかで、頭でっかちの教官に指導されながら2週間に一度ポツポツやるより、ずっと力がつくのに・・・後期研修の給料もけっこういいぞ、宿舎もあるし、保育所もあるぞ。」
「今まで研修に来た若手はいなかったのですか?」と私が訊くと
「A大学から来た奴にみっちり指導したら、途中で辞めちゃって・・・。それが2人続いたら、A大学からはそれっきりになってしまって・・・」だそうである。
「そりゃ、部長のいつも調子で指導したら、今の新研修医制度世代は泣いたり逃げたりするのが続出しますよ」と私は反論した。
「そうなんだよ、オレも反省した。昔に比べれば丸くなった。だから、誰か来てくれないかなあ。やさしく指導するから。とりあえず挿管できる奴ならいいぞ。」だそうである。
「怒鳴ったり、シバいたりしませんか?」と私が言うと
「そりゃあ、指導だからなあ。全く怒らないのはムリだ」だそうだ。

というわけで、上記の部長のシゴキに耐えて心臓麻酔の修行をしてみたい方、1回ぐらい見学してみたい方は、私にメールをくだされば転送します。今ならDr.ClonidineのTEEミニレクチャーが週1回付いてきます。

P.S
部長より「オレは心臓麻酔3000件じゃない、5000件以上はやってる。訂正しといてくれ」だそうです。

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Type IIIa心臓麻酔科医、その後

再び例の「心臓麻酔3000例」の麻酔科部長がいる病院へ行って来た。

朝の麻酔導入時
「ボクも手伝ってあげる」というので、ご好意に甘えるが、患者が眠るやいなや
「オレは気が短いんだよ!」と豹変・・・勝手(?)にVラインを取り始めるし・・・

なんせ2分に1回ぐらいは
「はやく!」
「CVPとSGはもっと離して刺せ!」
「ヘッドダウンの時間が長い!、ボリューム速すぎ!」etc...
と叱咤激励(?)がとぶ。

ここ5年ぐらい「導入が遅い」などと言われたことがない私にとっては、せかされながらの麻酔導入はなんだか新鮮な気分。挿管+A/V/CVP/S-Gラインを終了したのは導入開始後19分、よく考えたら自己新記録更新であった。しかしながら、麻酔科部長は、なんだか不満気なようすで手術室をで出ていった。

ベテラン看護師が言うには、「先生はあまり文句いわれませんでしたね。あれは部長のオメガネにかなったんだと思いますよ。いままで幾多の大学派遣の若い先生方が追い返されてますから…」だそうである。あの調子だと、一般的な大学派遣医だと8割方はアウトになりそうである。

おそるおそる私が「今まで断ったバイトの先生方は、どういう点で不満だったのですか?」と訊ねると、「そりゃあオレの気が休まらないレベルの奴は、雇ってる意味がないから雇わん」とのこと。どうやらこの部長、不出来な非常勤医に仕事を渡すぐらいなら、自分で心臓麻酔を並列にする主義らしい。その結果、「一人で心臓麻酔400件/年」という状態になっていたと思われる。

手術終了後、部長に来週の予定症例の資料をもらった。しばらく、この部長とのおつきあいは続きそうである。

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Type IIIa心臓麻酔科医の1例

卒後15年以降(=40代~)の「心臓麻酔科医」は、下記のように分類できるんじゃないかと個人的に思っている。
これをDr.Clonidine分類と定義すると

Type I. 大学病院に残り、臨床・教育・研究にいそしむ
Type II 循環器病センターなどで、スタッフ麻酔科医として就職する
Type IIIa 一般民間病院を中心に、ただひたすら心臓麻酔をかけまくる
Type IIIb フリーランス開業

といったところだろうか。

Type I- II は、学会のシンポジウムや学術雑誌などで名前や専門分野を拝見することもあり、捕捉することは比較的容易である。一方、Type III の麻酔科医たちは、学会等で積極的に発言するわけでもなく、病院にこもって(あるいは病院を渡り歩いて)ひたすら麻酔をかけまくっているので、心臓外科医や臨床工学士の噂話やら、ネットの匿名記事から生息範囲を推測するのが精一杯である。

先日の出張麻酔先で、Type IIIa心臓麻酔科医の仕事ぶりを観察する機会を得た。まず、麻酔導入スピードが速い。ラインなし・独歩入室の患者が、麻酔科医一人で挿管+A/V/CVP/S-Gライン挿入が平均30分である。(私なら30分は最速値、平均35-40分)

「人手が足りない場合は、心外でも並列麻酔にしてます」と先方が答えるので
「CABGと脳外科とかならば、何とかなりますよね。」と、私が相槌をうつと
「いや、CABGと弁置換とか」との返答、
「心外+心外で並列?!ど・ど・どうやって??」と、私。
「まずCABG導入するでしょ、LITA/RITA/SVGとか採取してるときヒマじゃないですか、その間に2例目を導入するんですよ。でもねえ最近年だから、週8例開心術とかキツイんですよ。非常勤の先生に助けてもらって、週5-6件に減らしたいなあ・・・」

というわけで、今後ちょくちょく彼の病院へ手伝いに行くことになった。心臓麻酔経験3000例選手(イチローみたいだ)のワザを教わろうと、今から楽しみにしている。

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真夏の夜の夢

ある熱い夏の夜、愛車にチェロを載せて、レッスンから帰宅する途中だった。

携帯が鳴った、車のハンズフリーボタンで受信すると、契約先産科病院の院長であった。「昼間に分娩した患者の血圧が下がって、輸血をしても60~70台、試験開腹したいのできてもらえませんか」とのこと。一瞬、携帯を切りそうになったが、「ここで断ってはフリーランス魂(?)が廃る」と思い直し「了解しました、直ちに向かいます」と答えた。

出血性ショック?肺塞栓や羊水塞栓にしては経過がマイルドだし、周産期心筋症もありうるよなあ・・・と、ハンドルを握りながら、鑑別診断がうかぶ。「飛んで火に入る夏の虫」というフレーズが脳裏をよぎる。

手術室にたどり着いたとき、患者は青白い顔色ながら、かろうじて脈拍は触れる状態であった。ただちに麻酔導入の後、手術開始。開腹後の血海を産科医達は懸命に原因を探る。子宮破裂であった。なるべくならば子宮を温存しようと院長は苦戦するが、出血は3000mlを超えた。子宮はゆるんだまま、収縮剤にも反応せず。床にこぼれた血がさらさらしてきた。のう盆にたまった血液も5分以上凝血をなさない。久々に見る産科DICである。日赤輸血センターに血液を注文するが、夜中ということもあって車の手配に手間取っているらしく、到着未定。

零時を過ぎた頃、「だめだ、子宮を取ろう!」院長が叫ぶ。手術室の小窓に患者夫を呼んで、手短に説明する。患者の夫は了承した。院長の説明に納得したというよりは、院長の顔色と気迫にただならぬものを感じたらしかった。「生命の保証はできません。身内の方を集めてください。」と告げた後、院長は直ちに子宮全摘術にとりかかる。麻酔科サイドからは、PPF・カテコラミン・フサン・ミラクリッド・ノイアートをてんこもり。福島県大野病院の事件が脳裏をよぎる。第一助手は70代医、最近の新研修医達とは鍛え方が違う、50年選手の底力をみせた。ちなみに、前日昼にカップめんを食べていらい、この患者にかかりっきりで何も食べていないらしい。

苦戦の末、ぼてっとして暗紫色の子宮は摘出された。輸血も間に合って、MAP/FFP/Pltをてんこもり。出血も下火になり、手術はなんとか終了した。出血量は約6000mlであった。麻酔からの覚醒も良好で、私は患者を病棟に搬送した。帰宅前に挨拶しようと院長を探すと、院長達は手術室脇の小部屋にいたが私は挨拶することができなかった。

「どうして子宮が破裂したか、納得のいくように説明してくれ。」
「子どもを一人っ子にしろというのか!」
「なにかミスがあったんじゃないか!」etc...
午前3時、院長達は家族に囲まれて、詰問されている最中だったからである。

「こんな夜中まで働いて、妻を救ってくれてありがとう」と、
少し前だったら感謝してもらえたケースだったはずである。いったい日本はいつからこんな国になってしまったのか。達成感のえられないまま、私は病院を後にした。

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麻酔科フリーランス FAQ

麻酔科フリーランスとなって、代表的な質問事項についてまとめてみました。

Q1.フリーランス開業の魅力は?

A1.私にとってもっともうれしかったのは、麻酔科医としての腕や労働密度が報酬としてきちんと評価されることです。「心臓麻酔などの高度な技術」や「並列麻酔などのリスクの高い仕事」では、報酬は加算されます。

医療崩壊が叫ばれる今もなお、ほとんどの基幹病院では「全科同一賃金+年功序列待遇」をとっております。この制度は、高齢医、病弱医、ママ女医には優しい一方で、「30~50才のフルタイム中堅医の非人道的過重労働」を前提としています。大学病院の「NBE・JB-POTなどの難関資格を有しても、賃金・昇進には影響せず、ただ単に残業・呼び出し回数・ハイリスク症例が増えるだけ」という職場環境で、「このままだと、過労死・医療事故・辞職のどれかだな」と実感することが多くなり、一番無難な後者を選びました。


Q2.何年ぐらいトレーニングすればフリー開業できますか?

A2.一般には麻酔科専門医(6年)の取得が望ましいとされています。私の実感としては、「X年のフルタイムトレーニングの後には、次のX年間は稼げる+次のX年間はそこそこ喰える」と思います。すなわち、10年間の基幹病院勤務の後に開業すると、次の10年は稼げる、その次の10年はそこそこ喰える」と思います。


Q3.仕事はどうやって探しますか?

A3.基本はクチコミと紹介です。現在、麻酔科フリーランス業界は圧倒的な供給不足なので、まともな仕事をしていれば、断るのに苦労するぐらい沢山の仕事が来ます。


Q4.外科医や常勤麻酔科医と報酬に関してモメませんか?

A4.幸いなことに、今までのところトラブルはありません。面と向かってイヤミをいわれたことはありません(影では知りませんが)。契約先の病院にとって必要な人材になれば、病院スタッフもあえてフリー麻酔科医を不愉快にして、逃げられるリスクを犯すようなことはしないものです。マリナーズのイチローは球団トップの高給取りですが、球団にとって不可欠の人材ならば、そのことを非難する人間はいません。

もっとも、病院側に「報酬に値しない無能な麻酔科医」と判断されれば、単に次の仕事が来ないだけなので、そういう意味でもあまりモメる余地はありません。


Q5.長期休みや病欠はどうしますか?

A5.長期休みは1週間程度でしたら、あらかじめ根回しすれば可能です(外科系のメジャー学会にあわせるのがコツです)。突然の病欠は、今のところフリー仲間同士でやりくりしています。


Q6.女性研修医です、家庭との両立のために将来フリーランス志望ですが?

A6.ママ女医でもフリーランスとして活躍することは可能ですが、プロフェッショナルとして「スケジュール管理や麻酔技術の維持について、自分を厳しく律する」ことが必要です。子どもの体調不良時には、「普段から複数のベビーシッターと契約し、仕事時間にあわせて自分で手配し、他人をわずらわせない」あるいは「ママ女医同士で連絡を密にして、自分が急用の場合には代役を手配する」といった覚悟が望ましいです。

現在は、都会の大学病院で研究生などをしているほうが、ママ女医にとってはラクな毎日が送れるようです。


Q7.専門医・指導医・学位・留学・教官経験、役に立ったのは何ですか?

どれもそれなりに役にたっています。学位取得時の審査教官とのやりとり、留学中の各種トラブルを英語で独力解決した経験、現在の病院事務方や税務署とのやりとりに生きています。また、私はネパールの病院で1ヶ月働き、手術中の停電や酸素配管暴発といった経験がありますが、この経験も有用です。(私はありませんが)医局長経験があれば、とても有用だとおもいます。


Q8.事故や訴訟を考えると、怖くないですか?

A8.麻酔を職業にしている以上、事故・訴訟のリスクは常にあります。かつて、ドラマ「白い巨塔」の時代には、「医局内の一人が訴えられたら、医局中が一致団結してなりふり構わず戦う」風潮がありました。

2004年の新研修医制度以降、医局というギルドは弱体化する一方です。2008年現在、昔のように「訴訟に対してメンバーを守ってくれる」力が残っているとは私には思えないのです。よって、「訴えられたら、大学だろうがフリーだろうが、結局のところ独力で対応しなければならない」と考えて、とりあえず保険だけはしっかりかけて気をつけています。


Q9.研修医です、手っ取り早く金持ちになりたいので麻酔科フリーランス志望ですが?

A9.現在フリーランス業界は大変盛況ですが、今後もこのバブルが続くとは私には思えません。というのも、麻酔科医が逃散した病院では、1~3年おくれで外科医が逃散するケースが非常に多いのです。現在、外科医志望者は激減する一方であり、中堅外科医も年をとりメスを置く日が来ます。このまま医療費削減が続くと、「後期高齢者の手術は保険適応外」という日が来るかもしれません。麻酔科医が増えなくても、外科医や手術件数が減れば、「麻酔科医不足」は解消するのです。

よって、現在の高騰する麻酔報酬を見て新規参入しても、5~6年後の専門医取得時期にはバブルは終わっていると考えるのが妥当です。そういった事実を踏まえた上で、自己責任で入局ください。

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出張の帰り道

出張麻酔の帰り道で、このような看板を見かけた。
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「な・な・何事?!こんな看板を住宅街に掲げていいのか!」
と、よく見ると

貝のマークで有名な、某石油会社系のガソリンスタンドでした。
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